マコモダケを浜松の名産に!スマートブルー

静岡県浜松市

土壌サンプル採取日

2024年10月3日

土壌診断 項目

1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数

土壌診断 証明書

土壌診断レポート

考察

■当該エリアの土壌は、水田に広く利用される「細粒質湿性低地水田土」に分類されます。
■この圃場の全炭素量は地質標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)よりも1.85倍多い値でした。バイオ炭の使用に加え、マコモダケ以前に長年営まれてきた稲作を通して、多くのイネ根や稲わらが圃場に梳きこまれ、それらの一部が難分解性の有機態炭素となり、土中に蓄積されてきたと推察します。
■非常に多くの菌根菌(AM菌)胞子が土中に存在し、マコモダケ根との共生率も高いです。このことから、この圃場のマコモダケは菌根菌の菌糸を通して土中から多くのリン成分を効率よく吸収していると推定されます。菌根菌が土着のものか、マコモダケの苗床と共に持ち込まれたものかは不明ですが、菌根菌を活用した作物生産を実現出来ている圃場は極めて稀ですので、今後もこの圃場環境を維持されることを心より期待します。
■(一財)日本菌根菌財団は、菌根菌が共生しやすいイネ科植物において、AMF胞子数が土壌10 g中500個以上、および、菌根共生率が40%以上の圃場を「菌根菌農法」として認証しています。今回の結果はこの基準を満たしており、必要であればこの認証を得ることができます。
■一般生菌数(生きた細菌の数)は土1gに77万個で、やや少ない値でした。土壌細菌は有機物を分解する原動力であり、炭素貯留にも貢献します。上述のとおり、この圃場では比較的多くの土壌炭素が貯留されていますので、土壌細菌は少ないながらも、基本的な機能を担っていると推定されます。
■大腸菌は非検出(N.D.)で、稲の菌汚染や公衆衛生上の問題は有りません。農作業を行う上でも安心です。

土壌診断結果を受けて(加嶋さんコメント)

私たちは作物と電気を両方作る「ソーラーシェアリング」を行っています。これまで再生可能エネルギーの電気を作っているということで脱炭素に貢献していることを伝えてきました。今回、土壌の中にも炭素を蓄えられていることがデータで確認できたことは、大きな発見でした。農業に関わりたい人をもっと増やしていきたいと思っていますが、「再エネだけではなく農業を通しても脱炭素に貢献できる」と言えることは、魅力だと感じています。

また、これまで手さぐりで栽培してきましたが、土壌診断をしたことで基準ができ、どこに向かって進むか考えるきっかけとなりました。これからは、マコモダケの収穫量をあげるためにどのように栽培したらよいのか、豊かな菌根菌をどのように農業の価値として活用していくのか、検討していきたいと思います。

写真)土壌サンプル採取時の工場横(2024年10月3日)

INFORMATION

農家さん関連情報