土壌サンプル採取日
2024年10月3日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書
土壌診断レポート
考察
■この圃場の土は「多腐植質厚層アロフェン質黒ボク土」に分類され、畑地に広く利用される典型的な黒ボク土です。
■全炭素量は地質標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)より37%多く、土1kgあたり81.1gの炭素が貯留されています。この値は一般の畑地としては極めて大きく、長年営まれてきた「落ち葉堆肥農法」の結果であると思われます。
■一般生菌数(生きた細菌の数)は土1gに1億5000万個と、非常に多くの細菌が生息しています。落葉の堆肥化を担った多様な土壌生物が畑地でも生息し、作物生産を支えていると推測いたします。
■菌根菌は不在でした。要因として、①土壌中に十分量の養分が有り、作物が菌根菌との共生を必要としないこと、または、②落葉堆肥を作る際の発酵過程で菌根菌が居なくなること、が考えられます。この圃場では両方の寄与があると推測しますが、作物の生産が問題無く行われている場合には、気にされなくて良いと考えます。
土壌診断診断結果を受けて(池田さんコメント)
これまで化学分析は行ったことがありますが、炭素貯留量や微生物量の分析ははじめてでした。私たちの畑が、炭素貯留量が多く、微生物量も豊富で、地球環境に貢献していることがわかって、いつも応援してくださっている方たちに喜んで頂けると思います。
また、私たちはこれまで40年以上に渡り、世界農業遺産「武蔵野の落ち葉堆肥農法」に取りくんでいますが、落ち葉堆肥を一緒に作っている方々にもその成果を科学的に説明することができますので、ありがたいことだと思います。
実は年々、地域の雑木林や森林が減少していて、落ち葉の確保が難しくなってきています。私たちは親戚の森林からも落ち葉を集めていますが、それも間伐などの維持管理を専門業者の方にお願いすると莫大な費用がかかってしまいます。農家さんが山を持っていたとしても、管理するというのはなかなか負担が大きいことです。
所沢は、毎年1月に各地で「落ち葉掃き」というイベントがあります。そういう機会を活かして、地域の林で子どもたちが遊んだり、間伐材で原木きのこを育てたり薪として使ったりなど、林を活かしながら保全するアイデアを出しあえたらいいですね。それが、地域資源の循環や持続可能で安心安全な食と農につながっていくとうれしいです。
写真)土壌サンプル採取時の金時草圃場(2024年10月3日)
写真)近隣の雑木林3カ所から落ち葉を集めてつくった堆肥。
葉を微生物が分解し、2年後にはホロホロした土状になる。