✅土壌診断1回目
土壌サンプル採取日
2023年8月22日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書
土壌診断 レポート
考察
■豊富な有機物を含み、”極めて”多くの土壌細菌が生息しています。土壌中の窒素量も適正範囲にあり、化学肥料に頼らずに作物生産が可能になる基本条件が整っています。
■菌根菌は不在でした。過去に菌根菌が消滅するイベント(例えば①農薬利用、②過剰施肥など)が有ったと思われます。しかし、現在は菌根菌が生息できる土壌環境が整っていることから、菌根菌製剤の施用によって、菌根菌を再定着させ、その機能を利用した作物生産が可能になるでしょう。
■微量の大腸菌が検出されました。野生動物の糞由来の可能性があります。しかし、極少量のため菌汚染や公衆衛生上の問題になるレベルではありません。
土壌診断結果を受けて(衣川さんコメント)
わたしたちが生きていきたい地球の未来を思い浮かべながら、不耕起栽培に取り組んでいます。「こういうやり方がいいかな」と想像しながらやってきたことが、地域標準と比べて約2倍の炭素貯留量がある、土1gに8.5億個の一般生菌数がいるという結果にあらわれて、本当にうれしいです。
種まきから収穫までのプロセスが純粋に「楽しい」という感覚だけで没頭してきましたが、わたしたちが感じていた「楽しい」という感覚的な部分が、土壌診断という科学的なフィルターを通すことで、不耕起栽培の本質的で普遍的な魅力として、あらためて体感することが出来ました。不耕起栽培への信頼感と、日々畑へと向かうモチベーションが更に補強されたことに感謝しています。
また、不耕起栽培の認知を広げたいという思いで、「SOYSCREAM!!!」というアイスクリームブランドを立ち上げましたが、原材料を生産する複数の生産者の畑の炭素貯留量を見える化したら面白いかもしれないと思いました。
菌根菌がいなかったことは残念ですが、菌根菌資材を使うことで野菜の生育や収穫に影響があるか、試験的な栽培を行ってみたいと思います。
写真)土壌サンプル採取時の「テラバタケ」長ナス圃場(2023年8月22日)
81 Organic Radio のご紹介
園長の木綿(ゆう)さん、ファーマ―の晃さんは、食や環境などさまざまなテーマについてお話するラジオを、土日をのぞく平日に毎日更新されています。9月27日の回では、みんな大地の土壌診断についてご紹介くださいました。
✅土壌診断2・3回目
土壌サンプル採取日
2023年11月13日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書
土壌診断 レポート(里の家・鉄塔 2圃場分)
考察
里の家
■全炭素量は地域標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)より10%程度低い値でした。これは過去の耕起型慣行栽培などの影響が残っているためと考えられます。
■この圃場の土は典型的な「黒ボク土」に分類され、もともと作物生産に有利な腐植性物質を多く含みます。また、窒素量も多く、C/N比も適正範囲にあります。さらに、多くの土壌細菌が生息していることから、化学肥料に頼らずに作物生産が可能になる基本条件が整っています。
■菌根菌は一部の株で共生が認められ、土壌中にも少数の胞子が認められました。菌根菌資材の利用や菌根菌を増やす効果の有るカーバークロップ(ナギナタガヤなど)を使うことによって、菌根菌の機能をより活用した作物生産が可能になると期待できます。
■大腸菌は非検出(N.D.)で、作物の菌汚染や公衆衛生上の問題は有りません。農作業を行う上でも安心です。
鉄塔
■全炭素量は地域標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)より70%も高い値でした。これは5年間の不耕起栽培によって、土壌中への有機物の蓄積が進んだためと考えられます。
■この圃場の土は「腐植質灰色低地土」に分類され、もともと表層に有機物を含む土壌ですが、それ以上に多くの有機物を蓄積しています。また、窒素量も多く、C/N比も適正範囲にあります。
■さらに、極めて多くの土壌細菌が生息しているので、化学肥料に頼らずに作物生産が可能になる基本条件が揃っています。
■菌根菌は15%前後の共生率が認められました。土壌中にも少数の胞子が認められました。菌根菌資材の利用や菌根菌を増やす効果の有るカーバークロップ(ナギナタガヤなど)を使うことによって、菌根菌の機能をより活用した作物生産が可能になると期待できます。
■大腸菌は非検出(N.D.)で、作物の菌汚染や公衆衛生上の問題は有りません。農作業を行う上でも安心です。