牛の放牧で耕作放棄地を再生するアグロエコロジー

福島県西白河郡矢吹町

土壌サンプル採取日

2024年10月16日

土壌診断 項目

1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数

土壌診断 証明書

土壌診断レポート

考察

■この圃場の土は「腐植質厚層非アロフェン質黒ボク土」に分類され、畑地に広く利用される典型的な黒ボク土です。
■全炭素量は地質標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」基準値)より91%ほど多く、土1kgあたり82.3gの炭素が貯留されています。この値は一般の畑地としては極めて大きく、前回計測時(2021年5月、27.0g/kg)の3倍あることから、開墾時の草のすきこみ、たい肥の投入、牛の放牧等の土壌改良の効果が現れていると推察されます。
■一般生菌数(生きた細菌の数)は土1gに5,300万個と、多くの細菌が生息しています。
■菌根菌はわずかながら生息していました。菌根菌はグラスフェッド牛のフンとの相性が良いと言われているため、もし菌根菌の活用に関心があれば、日本在来種の菌根菌を使用した資材をご紹介させていただきます。
■大腸菌は非検出で、病原性細菌による作物汚染リスクは無く、農作業も安心です。

土壌診断結果を受けて(冬室さんコメント)

ここは長らく耕作放棄地で、2021年5月にみんな大地さんに土壌診断していただいたときは、色んな草が生える荒れ地のような状態でした。今回、3年前と比べて有機物の量が3倍に増えていて、微生物も豊富に活動しているということがわかり、土壌再生の効果を実感することができました。

2023年の11月にロータリーをかけてやぶをすきこみ、豚糞堆肥を投入して、2024年の春と夏に牧草の種をまきました。牧草が雑草に負けてしまったときは、一度刈り敷きして、また牧草の種をまくということを行って、牧草が優位に育つ環境を作っていきました。そして、牧草が育ってきた2024年の夏から牛の放牧を始めました。

今年の春からは、福島県内にあるソーラーシェアリング20カ所のうち、牧草がうまく育ったところで牛の放牧を行う予定で、来年はさらに2倍に増やす計画です。この取り組みで、耕作放棄地の再生が進み、地域と共生する発電所が増えることを目指しています。

グラスフェッド牛と菌根菌は相性が良いということで、牧草を育てる際に菌根菌の活用も検討してみたいと思います。

動画)「福SS123」に放牧された牛の様子。
ここで作られた電気は、みんな電力の『アーティスト電力 大木伸夫発電所(ACIDMAN)』を通して
自宅で利用することができる。

動画と写真)土壌サンプル採取時の「福SS123」圃場の様子(2024年10月16日)

写真)「福SS123」圃場から車で30分のところにあるアグロエコロジーの牛舎。
広いところに放たれて不安を感じる牛もいるため、放牧は性格を見極めて対応している。

写真)牛の食事は、牧草や稲わら、麦など、なるべくグロエコロジー内の農業で生まれたものを使い、栄養の観点で必要な際は国産飼料を使う。将来的には自給を目指している。

写真)アグロエコロジー内で生産された農作物の残渣や畜産の糞、毛などをたい肥にし、自社の農業生産に活用。農業と畜産に取りくむことで循環が生まれている。

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