土壌サンプル採取日
2024年8月7日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書
土壌診断レポート
考察
■土壌の全炭素量は地域標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)の4.49倍でした。茶園土壌の大きな炭素貯留力は、これまでも知られていますが、この圃場も非常に多くの炭素を貯留しています。
■十分な窒素量があり、炭素・窒素バランス(C/N比)も適正です。
■一般生菌数は土1g中に980万個でした。この値は有機栽培土壌としては標準的です。一方で、静岡県農林技術研究所茶業研究センターは、茶草場農法の茶園土壌1g中の細菌数を、最大1,740万個:最小27.6万個と発表しています(*5)。この発表を参考にすると、この圃場の細菌数は茶園としては有意に多く、有機物の分解や大気からの窒素取り込みが効率よく進む土壌環境が整っていると推測されます。
■菌根菌は多くはありませんが定着しており、茶樹の成長を支える土壌生態系が機能しています。一方で、多くなかった要因として、土壌中の無機養分が多い可能性が考えられます。土壌化学分析を踏まえて、施肥量の精査をお勧めします。
■極めて少量の大腸菌が検出されましたが、公衆衛生上、全く問題になるレベルではありません
土壌診断結果を受けて(服部さんコメント)
静岡県菊川市を中心に、海外輸出向けの有機抹茶を栽培し、自社で加工し輸出まで対応しています。
抹茶栽培では、「被覆」という茶葉を遮光ネットで覆う工程が必要になりますが、このネットを張る架台を活用して太陽光パネルを設置し、茶畑で抹茶栽培を行いながら、発電もしています。
私たちの抹茶は美味しいことはもちろん、このソーラーシェアリング方式での栽培が、脱炭素への取り組みとして高く評価されていて、海外からの需要に供給が追いつかないほどです。
流通サービスでは毎年、圃場ごとに化学分析を行い、4種類の有機肥料を使い分けています。今回、化学分析とは異なる項目で土壌診断して、炭素貯留量が多い等の新たな付加価値を訴求できる材料をもらいました。国内外での展示会や各種講演などでデータを用いて説明できるため、このような取り組みは助かります。
写真)土壌サンプル採取時の工場横(2024年8月7日)