人手のかかる自然栽培にテクノロジーの活用を!ハタケホットケ

長野県塩尻市

土壌サンプル採取日

2024年4月25日

土壌診断 項目

1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数

土壌診断レポート

考察

東山1

■全炭素量は地域標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)より2倍以上大きな値でした。東山6の全炭素量も地域標準値の3倍以上の値である事を考えると、ここ数年の自然栽培によって炭素貯留量が増えたと言うよりも、この地域の水田造成の際に、他の地域から炭素量の多い土(「黒ボク土」など)が客土されたのではないか、と推定いたします。
■東山1は、当初は東山6と同等量の炭素を貯留していたと思われますが、ここ数年の自然栽培によって炭素貯留量が減少したと考えられます。その理由は、炭素をエネルギー源とする土壌細菌が増大したことによって土壌炭素が消費されたが、圃場に投入される炭素源(稲わらなどの有機物)が十分ではなく、土壌細菌による消費分の炭素量を補填できなかったためと考えられます。
■一般生菌数は、畑土壌に比べて一桁小さな値でしたが、田植え前の土壌では有りうることです。水稲では登熟期に土壌微生物が増大しますので、その時期に一般生菌数調査を行い、土壌微生物の活性度を把握する事を勧めします。
■菌根菌(AM菌)は、水田際に生息するセイヨウタンポポには共生しておらず、土壌中の胞子数も極めて少量でした。したがって、水田土壌の菌根菌も少ないと推定されます。原因は、過去の慣行栽培における農薬の影響が考えられます。自然栽培では菌根菌の活用が不可欠であるため、信頼できる菌根菌資材による菌根菌の再定着をお勧めします。
■大腸菌は非検出(N.D.)で、稲の菌汚染や公衆衛生上の問題は有りません。農作業を行う上でも安心です。

東山6

■全炭素量は地域標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)より3倍以上大きな値でした。上の東山1で書いた通り、この地域の水田造成の際に他地域から炭素量の多い土(「黒ボク土」など)が客土されたことがその原因で、耕作によって炭素が蓄積された訳ではないと考えます。
■東山6は、3年前迄は慣行水田であったことから、土壌微生物が生息しにくい環境であったと推定されます。その結果、土壌細菌による炭素消費量が少なく、東山1に比べてより多くの土壌炭素が残ったと推定されます。
■一般生菌数は、東山1よりもさらに少ない結果でした。一般に残留農薬の影響は3年程度続きますので、その影響が残っていると考えられます。東山1と同様、登熟期に再調査を行うことをお勧めします。
■菌根菌(AM菌)は、水田際に生息するセリには共生しておらず、土壌中の胞子数も極めて少量でした。したがって、水田土壌の菌根菌も少ないと推定されます。原因は、過去の農薬の影響が考えられます。自然栽培では菌根菌の活用が不可欠であるため、信頼できる菌根菌資材による菌根菌の再定着をお勧めします。
■大腸菌は非検出(N.D.)で、稲の菌汚染や公衆衛生上の問題は有りません。農作業を行う上でも安心です。

写真)土壌サンプル採取時の東山1圃場(2023年4月25日)

写真)土壌サンプル採取時の東山6圃場(2023年4月25日)

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