✅土壌診断1回目
土壌サンプル採取日
2023年10月25日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書

土壌診断 レポート
考察
■豊富な有機物を含み、多くの土壌細菌が生息しています。土壌中の窒素量も適正範囲にあり、化学肥料に頼らずに作物生産が可能になる基本条件が整っています。
■菌根菌は生息していませんでした。しかし、土壌環境は整っているので、菌根菌製剤の施用によって、菌根菌を再定着させ、より自然のメカニズムを活用した作物生産が可能になるでしょう。
■ごく微量の大腸菌が検出されましたが、作物の菌汚染や公衆衛生上の問題になるレベルではありません。
土壌診断結果を受けて(仲野さんコメント)
今回の診断では、菌根菌がいないという結果で残念に思いました。菌根菌に関してはとても興味深いので、営農しながら共生が見られる先がどのような圃場なのか、また菌根菌財団の取り組み内容を参考にしながら、自分なりに調べてみようと思います。また、レポートや証明書を自由に使って問題ないということで、活用させていただきますね。
生活者に対して土のデータを見せる取り組みについては、実は炭素を土に戻すことはとても大変なのですが、それを伝えるためには数字を示すだけではなく、慣行農法と比較できるとわかりやすいかもしれませんね。

写真)土壌サンプル採取時の「D畑」ミニトマト圃場(2023年10月25日)
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✅土壌診断2回目
土壌サンプル採取日
2024年10月16日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書

土壌診断レポート
考察
■一年前と比較し、土壌の全炭素量は+4.6g/Kg、一般生菌数は+2,000万cfu/g増加し、菌根菌の胞子数や共生率に増加が見られました。この一年の取り組みにより、土壌環境が変化した可能性がありますので、ぜひ詳細をご教授頂ければ幸いです。
■大腸菌は非検出で、良性の菌が活躍していると推察されます。
土壌診断結果を受けて(仲野さんコメント)
前回と比べて、全炭素量、一般生菌数、菌根菌胞子数の増加というポジティブな傾向が見られてうれしいです。この圃場では、前回、今回ともにミニトマトを栽培していますが、思い返すと冬の間の取り組みが違いました。これが結果に影響していると考えています。
具体的には、前回は植え付け前の冬のあいだに草を積んでいただけなのですが、今回は草を積むことに加えて、通路にミックス緑肥をまきました。ミックス緑肥をやったときのほうが、トマトの収穫量は多いですし、他の圃場でも作付けしていない時期に緑肥をやると、作物がよくできる実感があります。
うちはミックス緑肥をやるときに、麦、ライ麦、えんばく、ヘアリーベッチ、そらまめ、グリーンピースなど、自家採取した種も含めて最低5種類を入れるようにしています。トマトの植え付けは4月の半ばから末くらいなのですが、その頃だと麦は通路を歩くときに踏むことができる丈です。
そして今年は、D畑の半分をトマトではなく違う作物、できればナス科ではないものを植えてみようかと考えています。連作、輪作について色々な意見があるのですが、どういう結果が出るか楽しみです。


写真)土壌サンプル採取時の「D畑」ミニトマト圃場(2024年10月16日)

写真)毎週水曜日は援農の日。大テーブルでみんなでごはん!土壌サンプル採取日
✅土壌診断3回目
土壌サンプル採取日
2025年4月30日
土壌診断 項目
菌根共生率、菌根菌胞子数
土壌診断 レポート
考察
(1)母屋エリア
圃場1(養鶏放牧横)
■環境:養鶏放牧場と耕作地との間にある草地エリアです。
■菌根菌検査:イネ科の植物とともに優先的に生息していたアメリカフウロ(フウロソウ科)を対象に検査しました。菌根共生率、土壌中の胞子数ともに極めて少ない値でした。
圃場2(雑木林開墾なし、原木シイタケ等)
■環境:母屋の南西方向に位置し、スダジイ、タブノキなどの照葉樹とコナラなどの落葉広葉樹が混交する小高い雑木林です。中低木としてアオキ、シロダモ、ムラサキシキブなどが見られました。林床はリターで覆われていましたが土はやや硬めでした。
■菌根菌検査:林床に比較的多く生息していたアオキ(アオキ科)の幼木を対象としました。菌根共生率、土壌の菌根菌胞子とも少ないながら確認されました。
圃場3(雑木林開墾あり、マルベリー等)
■環境:小高い雑木林の北東面の開墾エリアです。地面は枯草で覆われ、様々な種類の草が生えていました。
■菌根菌検査:比較的多く生えていたヒヨドリバナ属(キク科)を対象としました。菌根共生率は10%近くあり、土10g中に菌根菌胞子数が50個前後あることから、この圃場では菌根菌が土壌生態系の一員として機能していることが分かりました。
圃場4(ブルーベリー圃場)
■環境:小高い雑木林の南西面の草地エリアです。緑肥のエンバクとヘアリーベッチが腰の高さほどに生い茂っていました。
■菌根菌検査:ヘアリーベッチ(マメ科)を対象としました。菌根共生率、土壌中の胞子数ともに極めて少ない値でした。
母屋エリアまとめ
■母屋エリアで菌根菌(AMF)の確実な存在が認められたのは圃場3(雑木林開墾あり、マルベリー等)のみでした。その要因については、このエリアの地歴に基づいて考察いたします(下)。
(2)一休エリア
圃場5(一休横)
■環境:一休放牧エリア横の畑地です。
■菌根菌検査:栽培されていたコムギ(イネ科)を対象としました。菌根共生率、土壌中の胞子数ともに極めて少ない値でした。
圃場6(竹林)
■環境:一休放牧地近くの孟宗竹の林で、東側の小高い畑地との境界林となっています。林床は竹のリターで覆われていましたが、下層植生は非常に少なく、ニレ科やムクノキの幼木がわずかながら認められました。
■菌根菌検査:ムクノキ(アサ科)の幼木を対象としました。菌根共生率が10%を超え、土10g中の菌根菌胞子数も50個を超える検体があり、菌根菌がこの竹林の土壌生態系の一翼を担っていることが分かりました。
圃場7(夏野菜畝間)
■環境:一休放牧エリアの南側に連なる畑地です。ナスなど夏野菜の畝間にマメ科やイネ科の草が生えていました。
■菌根菌検査:畝間の草で比較的多く生えていたハゼリソウ(ハゼリソウ科)を選びました。菌根共生は認められず、土中の胞子数も極めて少ない値でした。
圃場8(そら豆横)
■環境:圃場7の東側に位置するそら豆圃場と雑木林に挟まれた草地です。イネ科の草やセイタカアワダチソウが見られました。
■菌根菌検査:多く見られたイヌムギ(イネ科)を選びました。菌根共生率、土壌中の胞子数ともに極めて少ない値でした。
一休エリアまとめ
■一休エリアで菌根菌(AMF)の確実な存在が認められたのは圃場6(竹林)のみでした。その要因については、このエリアの地歴に基づいて考察いたします(下)。
(3)地歴に基づく考察
母屋エリア
■生物多様性センターの植生図(*1)では、母屋近傍の植生は1999年を境に「水田雑草群落」から「低木群落」へと変化しています。そこで、国土地理院/地理院地図/年代別航空写真(*2)を調べたところ、2000年代に、水田から更地への大幅な土地改変が行われ、現在の区画と道路が整備されたことが分かりました。
■圃場1は、水田から更地への土地改変が行われたエリア内に有り、客土や盛土などの影響で土壌生態系が攪乱され、菌根菌もほぼ不在になったと推定されます。
■圃場4の地点は、航空写真(*2)を見ると1960年代から現在に至るまで樹木は無く、一貫して畑地であった様に見えます。植生図(*1)でも「畑地雑草群落」となっていることから(1999年まで)、林地の中の畑として活用されていたと思われます。ここで長年にわたり農薬を用いた栽培が行われていたならば、菌根菌が極めて少ないのも頷けます。
■圃場3の地点は、航空写真(*2)によると、1960年代から直近まで一貫して林地内にあります。そのため森林の土壌生態系が攪乱されることなく維持されて来たことが、現在も比較的多くの菌根菌が生息している要因と推察されます。
■圃場2も一貫して林地内の地点ですが、菌根菌は多くありませんでした。原因は不明ですが、航空写真(*2)から、2000年代には水田から更地への土地改変に加え、森林縮小工事も行われたことが分かります。その影響を受けた可能性が考えられます。
一休エリア
■圃場5、圃場7、圃場8地点の植生(*1)は1960年代から直近まで「水田雑草群落」に分類されており、航空写真(*2)からも、1980年代まではこのエリアが水田であったことが分かります。しかし2000年代に水田から畑地への土地改変が行われており、この影響で土壌生態系が攪乱され、菌根菌が極めて少なくなったと推察します。
■圃場6のエリアは、周囲で土地改変が進む中でも1960年代から直近まで林地のまま残されて来ました(*2)。それによって菌根菌の生息環境が維持されてきたことが、現在も比較的多くの菌根菌が存在している要因と推察いたします。
*1 http://gis.biodic.go.jp/webgis/index.html
*2 https://maps.gsi.go.jp/#10/35.706646/140.055237/&base=ort&ls=ort&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m
まとめ
■2000年代にこのエリア一帯で行われた土地改変が畑地の菌根菌の生息環境を大きく劣化させましたが、土地改変の影響が少なかった一部の林地では菌根菌が存続し、結果として圃場3、圃場6のみで比較的多くの菌根菌が確認されたと推察いたします。
土壌診断結果を受けて(仲野さんコメント)
昔の「現代農業」で竹林の土壌を苗床に使うとよいと紹介されていたことを思い出しましたが、それは土壌微生物の観点でも有効という意味だったのかもしれませんね。土着の菌根菌を営農に活用する方法に興味がありますので、体系化された資料があればぜひ教えて頂きたいです。