土壌サンプル採取日
2024年10月3日
土壌診断 項目
1.全炭素量(C)、全窒素量(N)、C/N比
2.菌根共生率、菌根菌胞子数
3.一般生菌数、大腸菌群数、大腸菌数
土壌診断 証明書
土壌診断レポート
考察
■この圃場の土は「腐植質普通アロフェン質黒ボク土」に分類され、畑地に広く利用される典型的な黒ボク土です。
■全炭素量は地質標準値(農研機構「土壌のCO2吸収「見える化」サイト」記載値)の93%と、地質標準値よりやや少ない結果でした。・地質標準値よりやや少なかった理由として、食品コンポストなど地域の食品残渣を主原料とする比較的C/N比の低い有機堆肥を使用しているため、もともと炭素濃度が高い土壌に、堆肥由来の炭素濃度のやや低い土層が数年に亘って蓄積し、今回の計測値に影響したと思われます。
■この様に、もともとの土壌の上に炭素濃度5%以上の新たな土の層を作ってきたと考えると、地域の食品残渣の資源循環を通して、表層に炭素を貯留してきた圃場とも言えます。
■一般生菌数(生きた細菌の数)は土1gに8,900万個と、多くの細菌が生息しています。食品残渣由来の堆肥を栄養源に、多くの細菌類が活動し、作物生産に必要な養分を生産しているものと推察します。
■菌根菌は僅かに確認されましたが、かなり少ない値でした。土壌EC値が比較的大きいことから(別途計測)、土壌中の無機養分が多く、作物が菌根菌との共生を必要としないことが主な要因と考えられます。もし菌根菌の活用に関心があれば、施肥量を抑えつつ、菌根菌資材を試してみることをお勧めします。
■大腸菌は非検出で、病原性細菌による作物汚染リスクは無く、農作業も安心です。
土壌診断診断結果を受けて(川瀬さんコメント)
これまで、美味しい野菜ができていて、病害虫で困ったこともなく、土壌診断を受けたことがありませんでした。今回あらためて、日頃見ることができない土の中の様子を第三者に見てもらい、数字として現れて興味深く、今後どのような野菜作りをやっていこうか考える材料になりました。個人的な感想としては、結果を見ながらみんな大地のみなさんと会話できたことも面白かったです。
うちの畑では、地域の食品残渣ともみ殻でつくられた堆肥を使ったり、家庭用のコンポスト堆肥を受け入れています。希望者にはコンポスト基材も販売しています。畑が、野菜を生産して届けるだけではなく、それが還ってくる、社会の中で循環を担っている場所ということも大切にしています。
写真)土壌サンプル採取時の落花生圃場(2024年10月3日)
写真)畑で使う堆肥は、地域の食品残渣ともみ殻でつくられたもの。
もみ殻は炭素濃度は高いが難分解性のため、ゆっくりと土に還る。